平成27年第3回定例会(9月議会)
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姉妹友好都市とのさらなる発展的交流に向けて

――姉妹友好都市交流事業として、トーランス市との国際交流あるいは只見町に対しての災害支援など、意義深い取り組みを行っているが、全体として友好都市との交流、もっといえば柏市が世界7都市と姉妹友好都市を締結していること自体が市民に余り知られていないのではないかという感想を持っている。現状の活動云々の前に、まずこの状況についてしっかりと把握をして啓発を行っていかなければならないと思うが、現状についてどのように分析しているか。

地域づくり推進部長「まず、海外との交流は国際交流の促進を図り、地域社会と市民生活の国際化の推進に資することを目的として、姉妹友好都市のトーランス市(アメリカ)、承徳市(中国)、グアム准州(アメリカ)、キャムデン町(オーストラリア)と青少年派遣交流を行っている。柏市に来られた際には、市内小中学校や高校への学校訪問や茶道体験など異文化体験等を中心に交流を深めている。市民への周知は、派遣生による4都市合同帰国報告会を開催し、海外で学んだ点や今後どのように国際交流を深めていくのかといったことなどを参加された皆さんに発表している。また、柏で国際交流フェスタを毎年開催し、国際交流の紹介や諸外国の物産の販売等を行っており、このような取り組みを通して姉妹友好都市を市民の皆様にお知らせしている。
  次に、国内の都市との交流は、これまで只見町(福島県)、柏村(青森県)が前身のつがる市とは約20年、綾瀬市(神奈川県)とは10年の交流の中で、災害時における相互応援に関する協定を締結しているほか、柏まつりを初めとした各種イベントへの相互参加による市民交流や柏レイソルの試合観戦を組み合わせた子供サッカー教室の開催の事業を行い、交流を深めてきた。
  このように国内外を問わず、姉妹友好都市とは長きにわたり、さまざまな交流を行ってきたが、議員御指摘のとおり市民の皆様には十分認知されていない状況であることは認識している。さらに、多くの方に姉妹友好都市を知っていただくために、国際交流に関しましては平成28年5月オープン予定の柏市国際交流センターを拠点とした情報の発信に積極的に取り組んでいく。また、国内の交流に関しては、柏まつり等のイベントに交流都市が参加しているので、多くの市民の皆様に交流活動を知っていただく機会となるよう周知の方法などを工夫して検討してまいりたい」

――現状、(姉妹都市との行事などに)関わった方しか姉妹都市に対しての愛着のようなものが湧かないのかなと感じている。例えばグアムに観光に行かれた方がグアムと柏市は姉妹都市なんだという会話を果たしてするのか。あるいはつがるのリンゴをかじったときに、つがると柏は友好都市なんだ、姉妹都市なんだという話をするか。こういったことを考えなきゃいのではないかと思う。おそらく相手方の市民の方も柏に対してのイメージというのはそれぐらいのもので、関わった方は日本の千葉県に柏という姉妹都市があるよとか、日本の方だったらレイソルというサッカーチームのあるところが姉妹都市なんだという話をしているかもしれないが、一般的な方々は恐らくそういう認知はない。姉妹都市の一つのメリットとして災害のときに助け合えるとか、あるいはお互いを行き来するとかというのがありますけれども、発展的になっていかないんではないかと思うが、その点についての考えは。

地域づくり推進部長「確かに御指摘のような課題はあろうかと思う。グアムについても、ミスグアムが来られて柏まつりに参加するというようなことはあるが、私もグアム政府団の方とお話をしたときに、例えば農業の関係で(グアムでも)地産地消の動きがあるという話があって、それに対して柏の農業も非常に盛んなんですよというようなお話をした。それで、できれば柏まつりのときの来柏だけではなくて、いろいろな分野で交流ができればいいんじゃないかというようなお話を(グアム政府団の方に)いただいた。今後、これまでと違ったような交流ができればというふうに考えている」


平成27年9月17日 同年第3回定例会一般質問より

大規模イベントとイメージアップ施策

――柏市のイメージアップ対策として、イベントの開催あるいは既存のイベントの中での市のPRといったことに力を入れていたことある。いわゆる「We Love Kashiwa」キャンペーンだ。平成27年の柏まつり、手賀沼花火大会などでは何か取り組みを行ったのか。

市長「平成25年度に実施した『We Love Kashiwaキャンペーン』は、市民の皆様に柏への愛着を再認識していただき、元気な柏を全国にアピールするイメージアップ事業として実施したものだ。キャンペーンは、1年間に限定したものだったが、「We Love Kashiwa」の精神の考え方はロゴとともに現在でも各種イベント等に継承されている。 
  イベントに関連した取り組みは、柏まつりでは「We Love Kashiwa」のロゴが印刷されたチラシを配布している。さらに、キャンペーンを契機として始まった小学生のNEW柏おどりのコンテストでは、多くの小学生が趣向を凝らした創作踊りを披露している。
  また、ことしの手賀沼花火大会は市民を初めとする多くの方々と一緒に盛り上げていくことを目的に、「We Love Kashiwa」の入ったロゴを目印としたインターネット募金を実施した。なお、現在も「We Love Kashiwa」のロゴは「SUPPORT KASHIWA」の募金サイトから自由に御利用いただけるようになっている。「We Love Kashiwaキャンペーン事業」の展開は終了したが、柏への愛着、誇りを持つという目的はそれなりの成果があったものと考えている。今後もイベントや事業を通してより柏に愛着を持っていただけるよう取り組んでまいりたい」

―今年は市制60周年だ。こういったイメージ対策とかイベントごとというのは、機運というのがあって、タイミングをを逃さないことが大事だ。市外から多くの方がいらっしゃっていただける夏の大きなイベントの中で、(60周年をPRする)何らかの動きがあってもよかったのかなと思う。そういったことは検討したのか。

市長「柏の力というか、ひとつ柏というフレームを意識するに当たって「We Love Kashiwa」というフレーズ、ロゴをつくっていくのは大変大事だ。議員がおっしゃるとおり、多分1年の中で最も市内も市外も人が集まる柏まつりでもう少し有効活用すべきだったというのは反省をしなければいけないと思う。来年度以降商工会議所といろいろ検討しながら、どうしても中心のないお祭りという特徴があるが、どうやっていくか検討してまいりたい」

平成27年9月17日 同年第3回定例会一般質問より

空き家を「空き家にしない」取り組み、利活用に向けて 

――空き家対策にいては、前議会(平成27年6月議会)において空き家法の全面施行に伴っての柏市空き家条例との整合性についてお尋ねしたが(空き家対策法の本格施行の生かし方=議会報告)、法律が全面施行され、できることの幅が広がっても全市的な代執行の実施は現実的ではないとのことだった。今後は、空き家の利活用を行い、空き家を空き家にしない取り組みが必要であると思うが、どのような方法が考えられるか。

総務部長「これまで本市における空き家対策は、平成23年9月1日に施行された市空き家等適正管理条例に基づき、市民等から寄せられた空き家に関しての相談を受け、管理不全と判断した空き家の所有者に対し、文書による改善指導等行うことで対応してきた。しかしながら、空き家問題は少子高齢化や核家族化の進行、また住宅の需給バランスの不一致等の社会的背景により、今後ますます増加、深刻化する傾向にあり、これまでのような市民からの相談に応じる受け身の姿勢だけでは対処することが困難になってくると受けとめている。また、本年5月26日に完全施行された空家等対策の推進に関する特別措置法においても、空き家の実態把握や利活用といった本市の条例に規定されていない新たな項目が盛り込まれていることを踏まえ、今後の空き家対策の方向性や課題等について関係部署との協議を行っているところだ。現在特定空き家と判断する上での基準、チェックリストの作成を初め、現行条例の改正、廃止等具体の方針について検討しているが、今後は実態調査の方法であったり、組織のあり方について検討してまいりたい。
  空き家の利活用に関しては、先進自治体では空き家を高齢者が集うコミュニティ施設や介護施設、放課後における子供の居場所として活用している事例があるほか、宿泊施設として利活用が図られているケースもあり、それぞれ地域の実情に応じた利活用が図られている。また、千葉県においては本年3月に本市を含めた県内自治体職員を構成メンバーとして「千葉県すまいづくり協議会空家対策検討部会」を立ち上げ、空き家の有効活用策について協議や情報交換を行っている。この検討部会においても空き家対策を実施する上では、都市部と地方の環境の違いなど地域に置かれた実情を十分に認識し、その実情に合った施策を選択することが肝要との考えが示されている。本市においても今後、空き家の利活用策について検討したいと考えているが、検討するに当っては地域特性を十分に考慮した上で、庁内の関係部署はもとより、民間事業者を含めた関係機関とも連携を図りながら進めてまいりたい」

平成27年9月17日 同年第3回定例会一般質問より

■関連リンク
空き家対策法の本格施行の生かし方=議会報告

犯罪被害者へのケアと柏警察2署体制化

――犯罪被害者へのケアについてお尋ねする。国と自治体に犯罪被害者への支援の責務を定めた犯罪被害者等基本法が施行され10年が経つが、その自治体の支援が進んでいない現状が問題となっている。柏市ではどのような取り組み、また対応を行っているのか。

総務部長「犯罪被害者支援は柏市でも行っており、現在、千葉県犯罪被害者支援センターに加入し、適宜研修や会議等に参加して被害者支援に当たっている。ただ、現状はなかなか市でそういった犯罪被害者の方の支援を行っているとことが知られていないという現状があり、今後はそういったものを行っていることを幅広く周知して対応してまいりたい」

――恐らく専門の窓口を置くといった対応が難しく、ほかの自治体もやはりそういった(専門窓口を置いている)ところは余りない。犯罪被害者への対応を条例化している自治体も2割ぐらいしかないという、そういった状況のようだ。柏市の犯罪件数は少ないわけではなく、警察署の2署体制化の(千葉県警に)要望を出しているが、こういった犯罪被害者へのケアも現状なかなかできていない。そういった状況で果たして県なり県警なりに2署化というところで御理解が得られるのかと。自治体と警察がスクラムを組んで犯罪あるいは犯罪に遭った方へのケアをしていくというような体制づくりをしていくという、そういった姿勢を見せるということもこの要望活動の中で必要になってくるんじゃないかと、そのように考える。

総務部長「大変難しい問題ではあるが、今議員御指摘のとおり、重要なことだと思っているので、今後警察等と連携を図りながら体制づくりに努めてまいりたい」

平成27年9月17日 同年第3回定例会一般質問より

スポーツイベントの継続・拡大のために JSVNへの加入を

――今後のスポーツイベントや各種大会の開催時の人員の確保のため日本スポーツボランティアネットワーク、JSVNへの加入を提案する。自治体としては既に館山市が加入をしているという事例もあるが、柏市の加入についての考えは。

生涯学習部長「スポーツボランティアについては、競技スポーツを初めスポーツの各分野においてスポーツを支える重要な役割を果たしている。市が主催する手賀沼エコマラソンあるいは柏市民新春マラソンでは、一般社団法人柏市体育協会を初め大変多くのボランティアによって支えられている。このようなスポーツイベントを毎年継続的、安定的に実施していく上でスポーツボランティアの果たす役割は大変重要であると認識している
  また、本市のスポーツ推進の基本施策においても、するスポーツ、見るスポーツと同様に、支えるスポーツの充実を掲げている。より多くの市民がスポーツボランティアとして活動に参加することでスポーツを支えるだけではなく、スポーツへの興味、関心を高め、生きがいづくりや職種、世代を超えた交流の輪の拡大につながることを期待している。
  議員から提案があったNPO法人日本スポーツボランティアネットワークについては、全国有数のマラソン大会や地域スポーツ大会などを運営、サポートしているスポーツボランティア団体で構成されたネットワーク組織で、ボランティアの育成事業なども行っていると伺っている。本市においても地域全体でスポーツ活動を支えるための環境づくりを進めていく必要があることから、これを機に日本スポーツボランティアネットワークの情報収集を行うとともに、加入団体の実態把握などに努めてまいりたい」

平成27年9月17日 同年第3回定例会一般質問より

■関連リンク
日本スポーツボランティアネットワーク

「振り込め詐欺対策条例」制定へ(2)=平成27年9月議会

  平成28年3月議会において、「柏市振り込め詐欺等被害防止等条例」が可決、成立しました。私は、平成27年6月議会から制定まで議会質問などを通し、市執行部との議論を深めてまいりました。この項では、2度目の議会質問となる平成27年9月議会での質疑について、その要旨を掲載します。


―特殊詐欺等撲滅条例、いわゆる振り込め詐欺対策条例について6月の議会において質問をした際には、「県警や金融機関、運送会社等を初めとするプロジェクトチームを立ち上げて条例案、対策案について検討していく」と答弁をいただいた。実際に第1回のプロジェクト会議を先般開催をしたとのことだが、その内容を含めた条例の概要は

総務部長「柏市内における振り込め詐欺等の被害状況は、平成27年8月末現在で35件発生しており、被害額は約1億4,000万円だ。詐欺被害を人口1人当たりで見ると、全国平均と比べ、1.5倍から2倍程度高い。これまで柏市における振り込め詐欺等の対策としては、迷惑電話チェッカーの普及や犯罪マップの発行、啓発ポスターの作成、またシンポジウムの開催、サポカーによる注意喚起、また町会等の防犯講話による注意喚起を27年は40件ほど開催している。そうした取り組みを積極的に行ってきたが、振り込め詐欺等の被害は後を絶たない状況だ。そうした中、昨年8月、柏市老人クラブの会員6,000名を対象にした振り込め詐欺被害に関するアンケート調査を実施し、結果の分析、そして報告書の取りまとめを行った全国安全都市会議から今後の被害拡大を防ぐには官民一丸となって取り組むための振り込め詐欺撲滅条例の制定と推進が必要との提案がなされた。また、金融機関を初めとした関係事業者とのヒアリングにおいても効果的な振り込め詐欺防止策を講じるには防止対策の方針を明確にした条例の制定が必要であるとの意見が多く寄せられた。
  市では、こうしたことを踏まえ、条例の制定及び振り込め詐欺等の抑止対策を検討するため、27年8月28日に学識経験者、金融機関、また警察、消費者団体等で構成する振り込め詐欺等の被害の防止に関するプロジェクト会議を開催し、条例案及び抑止対策について幅広く意見をいただいた。現在、条例案について市のホームページ等でパブリックコメントを実施しているが、最終的には市民の皆様からの御意見と当該プロジェクト会議での御意見を参考にしてまとめてまいりたい。
なお、現時点における条例案は熊本県等の先進自治体の条例を参考に、住民に身近な基礎自治体の役割等を考慮して、市の責務、市民の役割、また事業者の役割等を規定しているほか、柏市独自のものといたしましては振り込め詐欺被害者の聞き取り調査から被害者の精神的なケアが必要であると認識したことから、被害者への支援等について規定している」

――条例の内容として、市民あるいは事業者への協力というのが条文として入ってくるとのことだ。市の役割は考えやすく、我々議会等でも議論ができるし、庁内関係機関とも議論がしやすいところだが、市民、事業者等の役割はどういったものを想定されているか

総務部長「事業者の役割として考えているのが、振り込め詐欺等にかかわる行為を発見した場合には警察への通報をお願いするとか、それから事業者においてもやはり市民への啓発にも協力してもらうとか、そういった規定を考えている。それから、市民についても同様になるが、やはり被害を受けようとした場合、それからそういう疑われるものを発見した場合、警察等に通報を行うと。市民はそういう被害に遭った場合とか、遭いそうになった場合に、やはりそれを人に伝えたくないというような思いがあり、それが犯罪をふやしているという傾向もあるので、そういったときには警察なり市のほうに連絡をしていただきたいという内容の規定を盛り込みたいと考えている」

――現行では条例施行されていないが、市内であるタクシー運転手が被害を未然に防いだ事例があると聞き及んでいる。そういった具体的な動きというのができるような取り組みにしていってほしい。

平成27年9月17日 同年第3回定例会一般質問より

■関連リンク
「振り込め詐欺対策条例」制定へ=議会報告(平成27年6月議会)
柏市振り込め詐欺等被害防止等条例を制定(柏市)

柏レイソルのACL出場に関する取り組み

――毎度恒例の質問となっているが、ホームタウン事業について、今回のレイソルのACL出場に関して取り組んだ事業等はあるか

地域づくり推進部長「過去には柏駅東口ダブルデッキ上に案内ブースを設置し、通訳ボランティアとともに柏の見どころなどを紹介した歓迎パンフレットや観光マップを配りながら、街の紹介やスタジアムまでの道案内などを行っている。過去の取り組みの実績から、効果的にPRするにはどうすればよいかといった点が課題であると捉えており、今回は柏駅東口キャノピー部分に試合日を告知する横断幕を設置した。この横断幕だが、柏レイソルから画像の素材を提供いただき、サポーターがデザインをして柏市が設置した3者協力のもとに設置をしている。
  また、海外から来られた方には東口からスタジアムまでの外国語表記の案内看板を設置し、道案内を実施した。さらに、市ホームページや広報かしわ、市民課に設置している動画モニターで情報発信を実施した。今後も試合の周知を含め、市民や本市に来られた方にわかりやすい案内ができるよう適切な方法を検討していく」

平成27年9月17日 同年第3回定例会一般質問より

■関連リンク
柏レイソルとACLについて=議会報告(6)

教職員の長時間勤務による志望者減少、質の低下への懸念

――小中学校問わず、教職員の在校時間が非常に長く、全国の公立小中学校の教諭の1日平均在校時間が小学校で11時間35分、中学校では12時間6分に及ぶという調べがある。それを短くするにも、児童生徒への指導業務を軽減するのは難しい。そうした中では、事務的な作業をいかに軽減をしていくかが鍵になるかなと考えるが、教育委員会の見解は。

教育長「長時間勤務による教職員の多忙化が昨今、大変話題になっているが、柏市の小中学校の先生方も同様の状況であると認識はしている。文科省の調査で教職員が一番、仕事上で負担に感じることはという項目があり、児童生徒と一緒に活動する授業であるとか、授業準備とか、あるいは部活動等ではなく、『(負担に感じるのは)文科省のこういうアンケートに答えること』というような皮肉な回答が多かったという報道もある。または研修のレポートであるとか、給食費の集金とか、そういったいわゆる議員がお話しになった事務的な活動も(負担になることが)明らかになっているので、こうした業務の軽減に教育委員会でできることに努めることも大事だと考えている。
  本市では会計事務を担当する事務補助員を配置して事務の軽減を図ったり、事務や教育事務のIT化を図ったり、県費の事務職員に教育事務の分担をお願いしたりということを進めてきた。加えてサポート教員であるとか、理科支援員であるとか、子供たちへのより質の高い教育を目指した人の配置は、結果としては先生方の負担軽減にもつながっているものと理解している。仕事を減らすか人をふやすかという非常に乱暴なお話を前にさせていただいたが、OECD(経済協力開発機構)の調査の責任を負った教育局の方は、この調査結果を受けて、授業も部活動も掃除も教員と子供が一緒になってやっている国は世界に日本しかないと。したがって、これが日本の教育の強みであり、効率であるとか、勤務時間の問題でやめないほうがよろしいということを言っている。私も賛同する。したがって、できれば教員を増員する、あるいは専門性を高める、教員以外の専門職を学校に配置する、教員を補助する者を配置する、そういったことを給与や処遇の見直しとともにやっていく、市としてできる人の配置は進めていくべきと考えている」

――私が懸念するのは、この(職業が多様化する)状況が続く中で、じゃあ果たして教員になりたいと思う人がふえるかということだ。長時間の勤務ということを聞いて、(教育現場を志す)情熱のある方もいらっしゃると思うが、だったら違う働き方をという方も今後出てくると思う。それについての考えは。

教育長「実際に関東一円、千葉県、埼玉県、神奈川県等で今大量に若い先生を採用し、(ベテランが)定年退職を迎える交代期に入っている。その採用担当者の方の話だと、(志望者の減少を)若干心配している。世の中、民間の就職状況がよくなっており、教員の質が低下するのではないかと、そういった意味で働く環境、勤務時間等についても改善を望むという考えを、実際の採用の担当者の方が話されていた」

――職種、働き方も多様化していく中で、教員というのが今後(働きたい職業として)選ばれるのか。もちろん志望者が少なくなれば、人材の質というのは必然的に落ちてしまうと。そして結局の話、一番最後にしわ寄せが行くのは教育を受ける子供たちになってしまう。これが私が一番懸念をしているところで、そのために先ほど申し上げたような事務作業の軽減などが可能であればやっていただきたい思うが、(文科省の調査では)事務補助員もまた勤務時間が10時間近くになっている。業務量自体が学校は多いのかなというのは単純に思う。先ほど教育長からも答弁いただいたが、しっかりケアをして、少しでも教職員の負担が減るように取り組んでいただきたいと要望する

平成27年9月17日 同年第3回定例会一般質問より

小中一貫教育の教育的メリットとまちづくりへの生かし方

――先般、改正学校教育法が可決、成立した。これにより、義務教育学校として9年間の義務教育を一貫して行ういわゆる小中一貫校が制度化された。従来の小学校6年、中学校3年という形のみならず、「5・4制」であったり、「4・3・2制」でのカリキュラムであったりといった柔軟な教育カリキュラムを組むことが可能となった。実施をすれば中一ギャップの解消や教育内容の実施学年の前倒し、あるいは入れかえなどといった多くのメリットを含む制度改正となるが、柏市での実施の可否も含めて、この制度についての見解は。

教育長「議員の質問にあったように、学校教育法の一部を改正する法律が平成27年6月に成立し、現行の小・中学校に加えて小学校から中学校まで義務教育を一貫して行う義務教育学校というのが新しく学校の種類として規定された。実は、中等教育学校という中学校と高校を一体として運営する学校もかつて法律上位置づけられており、これで義務教育にかかわる学校種は小学校、中学校、義務教育学校、中等教育学校と特別支援学校という学校種となった。これにより、市町村は小学校や中学校のかわりに義務教育学校を設置するということが可能になった。改正法の施行が本年度ではなく、来年度の平成28年4月からということであるから、まだ日本全国にこの義務教育学校は設置されていいない。しかしながら、近年文科省の特例措置を使っている小中一貫型の学校、例えば千葉県内だと、鴨川市の長狭学園、市原市の加茂学園などはおそらく4月からは義務教育学校に移行するのではないかなと推察している。
  義務教育学校は1つの学校なので、1人の校長で運営される。小中両方の免許を持つ教員を配置して教科担任制を小学校部分まで広げやすいとか、小中一緒の学校なので中一ギャップが小さいとか、あるいは学習内容を先取りして小6のうちに中学生の内容を少し学習するとか、場合によっては逆に小学校の内容を中学校へ行ってからもう一度学習し直すなど、現在は特例許可で行っていたカリキュラムの変更等が義務教育学校を設置することで、そのままできるというメリットが報告されている。
  しかしながら、義務教育学校の指導内容そのものは従来の小学校と中学校の学習指導要領に基づいて行われるものであり、義務教育学校でなければどうしても実現できないと考える教育活動については、まだまだ検討の余地があるのではないかというのが私の率直な考えだ。現実的に全国の多くの特例を持って行っている小中一貫校は、少子化であるとか、市町村合併によって複数の小中学校を統廃合して新設の小中一貫校をつくるという形で設置されている。本市において見回したときに、確かに単学級の小学校も数校あり、中学校も1校単学級があるが、直ちにこれを義務教育学校にするのがよいというふうに判断するのにはちょっと早計ではないかなと考えるところだ。もし設置するとすれば、学校施設が一体でなくても義務教育学校は設置できるが、先ほどのメリットを考えると、やはり一体でなければ本当にメリットを生かすことはできないと考えるので、保護者や地域住民から十分な意見を聞き、また人の配置については県教育委員会が行うので、そういった面で十分なメリットがあるのかどうか確認した上で子供や保護者、地域が望む学校として義務教育学校を設置していくことが大切であると考えている。したがって、今すぐ取り組むべき課題ではないと考えている」

――私も義務教育学校をすぐに(設置する)という話は、難しいのかなと、議論を重ねていかなくてはならないんだろうなと、教育長と同じような感想を持っている。だが、この議論をしていく中で実施をしていこうとなった場合、やはり準備が大変なんじゃないかと懸念する。仮にその準備をするとしたらどれぐらいかかるのか。

教育長「地域の方、保護者の方のコンセンサスを得るところがまず一番時間がかかるだろうと思う。それさえできれば数年、4、5年の間には実現ができるんではないかなというふうに考えている」

――子供たちへのメリットというところ以外に、例えば一貫制度化をしている学校に子供を通わせたいという親御さんが、柏市にぜひ住居を構えたいと思ってくださる可能性ももちろんあるのではないかと。その中で柏市としては、当然そういった方々にはぜひ柏市に居住していただきたいというのが当然のことだと思うが、居住促進のための取り組みにつなげていくという可能性は。


副市長「まちづくりの中で教育環境は、そこに住みたいという中で非常にいろいろな方が関心持っている課題だと思う。教育にはいろいろなケース(選択肢)があっていい。その中でいろいろな選択を住もうという方ができるような、そういう環境づくりはまちづくりの中でも重要だ。今柏の葉では小中連携ということで進めているが、まちづくりの中でセールスポイントになると思うので、いろいろなことを教育委員会と連携しながら取り組んでいきたい」

平成27年9月17日 同年第3回定例会一般質問より

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・2016年4月スタート! 「義務教育学校」を理解するポイント7(パピマミ)

人生の節目を手元に 記念に残る届け出用紙

――市民が市にさまざまな申請をする際の用紙の形式、様式についてお伺いをいたします。東京都葛飾区では、市民が記入する婚姻届が複写式になっているとのことだ。柏市でもそうだが、一般的な届け出用紙は、記入したものをそのまま窓口に提出するため届け出をされる方の手元には残らない。しかし、葛飾区では申請内容の控えを持ち帰っていただくことができるそうだ。控えをお持ち帰りいただくことで、届け出を提出したときの気持ちを忘れずに末永く区内に居住してほしいと、そういう狙いがあるとのことで、大変人情味のある取り組みだなと感心をした。
婚姻届に限らず、市役所に提出する書類の多くは結婚であったり、出産であったり、あるいはマイホームの購入であったり、そして家族の死去と人生の節目であることが多く、控えを持って帰れるのであれば、それを記念として手元に持っておきたいと考える市民もおられるのではないかなと思う。これについて、市の考えは。


市民生活部長「窓口業務について、申請用紙の様式、特に婚姻届あるいは出生届の届け出用紙を記念に残る用紙に変えたらどうかということについてお答えする。戸籍届け出の様式は、法務省民事局からの通達で標準様式が定められており、多くの市区町村がその一般的な様式を用意している。しかしながら、昨今では結婚情報誌にピンク色の破れにくい婚姻届用紙が付録としてついていたり、また他市ではその地方の特産品あるいはキャラクターを欄外に印刷するなど、特色を出した婚姻届け出用紙を用意しているところもある。
  また、一般的な届け出書は役所に提出した後は手元に残らないため、記念に残るための工夫として届け出の際に記念写真の背景となるボードを庁舎内に置くなどの取り組みをしているところもある。本市においても特色のある届け出書が柏市への定住促進につながるかという観点も含め、他市の情報を収集した上、届け出人のニーズあるいはコスト面を考慮しながら検討してまいりたい」

平成27年9月17日 同年第3回定例会一般質問より

柏の葉キャンパス駅と柏駅をつなぐ直通交通の必要性

――柏の葉キャンパス駅と柏駅をつなぐ直通交通について質問する。柏市には、都心へとつながる常磐線とつくばエクスプレスの2本の鉄道路線が通り、交通の軸となっている。中でも常磐線柏駅前は我が市の中心街であり、一方のつくばエクスプレスでは柏の葉キャンパス駅が国・県の各種施設や大学などの学校が多数ある。両駅の周辺は、性格、特徴が異なり、相互の行き来をスムーズにすることは利用者にとっての利便性を明らかに向上させる。もちろん周辺住民の利用も見込め、今後のまちづくりを行う上で両駅間を結ぶ直通交通を導入することは重要なのではないかと考えるが、その必要性についてどのよう見解をもっているか。

土木部長「柏市の拠点である柏駅周辺地区、柏の葉キャンパス駅周辺地区、沼南支所周辺地区を結ぶ公共交通軸の強化については、柏市都市計画マスタープラン及び柏市総合交通計画に位置づけており、重要な施策と考えている。今後交通事業者など関係機関と協力しながら交通体系の見直しを図り、その中で柏駅から柏の葉キャンパス駅までの直通交通を含めた公共交通軸の強化についても地域のニーズを把握しながら、運行方式やルート等将来の方向性を研究していく」

平成27年9月17日 同年第3回定例会一般質問より

交通不便地域での“貨客混載”の可能性

――買い物不便、交通不便地域への対応について質問する。道路運送法の規定が見直され、一定条件の地域ではタクシーや自治体が運行するバスでの食料品などの宅配サービスが解禁された。また、逆に宅配会社の車両に乗客を乗せることも可能となる。今回の規制緩和は、民間の路線バスが撤退した地域など、いわゆる過疎地と呼ばれる地域が対象であり、柏市は対象となるものでないが、今後こうした規制緩和が進み、都市部でも同様の事業が実施できるようになればわが市にとっても買い物、また交通不便地域での対応策の選択肢がふえていくと考えりが、市としての考えは。

土木部長「既存の交通事業者を対象としたタクシーによる有償貨物運送や、トラックによる有償旅客運送が可能となる貨客混載制度の創設についての質問にお答えする。質問の中で丁寧に説明いただいたが、この制度は民間路線バスが撤退するような過疎地域において、タクシー事業者や貨物運送事業者に生活支援サービスなど地域貢献の推進が期待されている。地域によっては、今後こういった制度導入の必要性が高まるものと思われる。その中で柏市、首都圏で制度導入ができた場合は、市民の利便性は確かに向上すると思っている。しかしながら、危惧というか、やはり物と人、人には心も魂もあるわけで、そういう(事業者間、業種間の)関係と、競争の激化によっての安全性の低下につながらないようにといったところがこういう制度の中の肝かなと思っている。今後、国の動向や実例など注視し、勉強してまいりたい」

平成27年9月17日 同年第3回定例会一般質問より 

‐‐‐‐関連記事‐‐‐‐

■タクシーで貨物配送OKに 一部過疎地で容認へ(日本経済新聞 2015/2/6) 

  国土交通省はタクシーで貨物を運んだり、トラックに旅客を乗せたりすることを一部の過疎地で認める方針だ。路線バスの撤退やタクシーの少ない地域で住民の足を確保するねらいがある。主に完成車メーカーに限っていた不具合情報の報告義務を部品メーカーにも課すことや、絵柄をあしらった自動車用ナンバープレートの発行を認めることも正式に決めた。
 
同省の有識者委員会が6日に中間報告をまとめた。

  現行制度で貨物を運ぶトラックと旅客を乗せるタクシーは区別され、法律が分かれている。過疎地を中心にタクシーを使った貨物配送への要望が強く、政府の規制改革会議も制度の見直しを求めていた。今後はタクシーが少量の郵便物や新聞・雑誌を有償で運んだり、トラックが旅客を乗せたりする「貨客混載」を部分的に解禁する。(後略)

http://www.nikkei.com/article/DGXLASFS06H5Z_W5A200C1PP8000/

妊娠から育児までの一括支援体制の構築に向けて

――妊娠から育児までの一括支援という観点で質問する。妊娠時から、それに続く育児期間までを通して継続的に行政サービスを提供するシステム、いわゆるフィンランド式の導入が首都圏の各自治体を中心に進んでいる。具体的には「ネウボラ」と呼ばれる支援拠点を整備し、保健師や助産師がケアプランの作成などの相談業務に当たる制度とだ。柏市では、こうした支援体制についてどう考えるか、今後の課題や計画は。

保健所長「妊娠から育児までの一括支援については、地域で孤立することなく安心して出産し、育児ができることは、子供の健やかな成長のために大変重要だ。平成27年8月に、市内の乳幼児を持つ保護者約1,500名に対し母子保健に係るニーズ調査を行った。その結果、1つとして妊娠、出産、育児に関するサービスの調整、案内などを保健師らに望む保護者が約7割いた。2つ目として気軽に相談できる場所づくりを希望する保護者は約4割といった結果があり、相談しやすい体制づくりの市民ニーズが高いことがわかった。
  当市の相談体制については、これまでも妊娠期は母子手帳の交付時に行う面談、妊婦健診やパパママ学級など、機会を捉えての相談支援を行ってきた。また産後は身体的にも精神的にも不安定になりやすく、母親の育児不安も高まる時期であり、助産師などによる新生児訪問、不安や悩みを気軽に相談できる子育て専用電話「にこにこダイヤルかしわ」を開設し、対応を図っている。
  一方、国では子育て支援拠点を整備し、妊娠期から子育て期にわたるさまざまな悩み、ニーズに対して総合的に相談支援を提供することを打ち出している。当市としても国の動きを受け、こども部と保健所が連携し、検討、調整を図っている。主な課題は、それを支援する保健師などの専門職の確保及び人材の育成だ。今後は、先進自治体の実施状況を参考に、当市の実情に合った切れ目のない継続した子育て支援体制の構築に向けて研究していく」

平成27年9月17日 同年第3回定例会一般質問より
      

「柏市電子母子手帳サービス」について

――今年度、柏市では、スマートフォンで妊婦や子供の健康を管理する「柏市電子母子手帳サービス」を試験導入した。母子手帳に限らず、紙で管理をしていた情報を電子化することには多くのメリットがあり、試験導入中にしっかりと課題を洗い出し、本導入に向けて取り組んでいただきたいと考えているが、試験導入の状況も含めて制度の概要は。

保健所長「この事業は総務省の地域ICTまちづくり推進事業を契機に、27年度より有効性の検証を行っている事業だ。なお、この取り組みは県内では初めてのものだ。このサービスは、予防接種のスケジュールの案内や子供の沐浴方法、離乳食のつくり方などの実際を動画で配信するなど従来の母子健康手帳を補完する事業として実施している。4月から8月末までの現在で登録者数は約400名となっている。登録者を対象としたアンケートでは、便利だと思う機能として予防接種情報の入力及び接種予定日の管理、日々の発達の記録の入力、また乳幼児発育状況のグラフ表示などが挙げられている。従来の手帳とあわせて利用することで適切な情報取得による知識向上や不安解消のみならず、安心・安全で豊かな子育てに役立つことを期待している」

平成27年9月17日 同年第3回定例会一般質問より

「孫育て休暇」について

――育児休暇の一環として、両親の負担を軽減するために祖父母がいわゆる孫守のために欠勤、有給休暇をとる「孫育て休暇」を導入する企業がふえている。また、「孫育て休暇」を制度化した企業に対し、奨励金・補助金を交付する自治体あるが、柏市においては、こうした「孫育て休暇」に関し、市役所での実施も含めてどのように考えているか。

総務部長 「柏市における子育てに係る職員の休暇については、産前産後休暇、育児休業、育児時間休暇を初めとして男性の育児参加休暇や子供休暇などの休暇制度を整備している。中でも子供休暇については、子供を看護する場合のほか、学校行事に参加する場合なども取得できるよう要件を緩和している。取得日数についても従来は子供の人数にかかわらず、年度につき5日を上限としていたものを27年度から子供が2人以上の場合には10日まで取得できるよう拡大した。
一方、御指摘の孫育てに係る休暇は、孫を含む同居の家族等がけがや疾病等により2週間以上日常生活を営むことに支障がある場合など取得できる短期介護休暇はあるが、孫の育児を目的とするような休暇は現在整備していない。子育て支援については、地方自治体として、また一事業者として積極的に取り組んでいかなければならないものと認識しているが、どこまで配慮することが適当であるか、また何を優先するべきか今後職員のニーズであったり、国や先進自治体等の動向を確認しながら、検討していきたい」

平成27年9月17日 同年第3回定例会一般質問より
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